Court Judgements
IT関係に限らず、公開された裁判例をAI(Bing)の助けを借りながら紐解き、概要を月単位にまとめています。日付降順に追記しています。
審決取消請求事件 特許権・行政訴訟 請求棄却
原告 X
被告 ユーグレナ
2023年12月21日 知財高裁 令和5(行ケ)10046
争点
X氏は、「角栓除去用液状クレンジング剤」の発明が特許庁により無効とされた審決について、ユーグレナが主張する新規性欠如や進歩性欠如の無効理由を否定し、本件審決の取消しを請求。
特許第6271790号(P6271790) 角栓除去用液状クレンジング剤 が争点。
判決
裁判所は、X氏の発明において、化粧品の包装容器、広告等に記載された成分は、必須の成分を記載したものとして扱っても差し支えないと判断したものであり、本件審決の判断は妥当であるとし、X氏の請求を棄却し、訴訟費用の負担を命じた。
関連情報 特許第6271790号(P6271790) 角栓除去用液状クレンジング剤
審決取消請求事件 特許権・行政訴訟 請求棄却
原告 東京精密
被告 浜松ホトニクス
2023年12月21日 知財高裁 令和4(行ケ)10123
争点
東京精密は、浜松ホトニクスが保有する特許の請求項13、15、16に係る発明が、先行技術に基づいて容易に想定できるものであり、特許法第29条第1項の特許要件を満たさないとして、特許庁に無効審判を請求したが、特許庁は東京精密の請求を棄却。東京精密は、特許庁の審決を取り消すように裁判所に訴えた。
特許第4601965号(P4601965) レーザ加工方法及びレーザ加工装置が争点。
判決
裁判所は、本件特許の発明が、先行技術に基づいて容易に想定できるものではなく、技術的進歩の効果を有するものであると判断。東京精密が主張する周知の技術的事項や動機付けの根拠について、それぞれ具体的に検討し、説得力がないと結論づけ、東京精密の訴えを棄却し訴訟費用の負担を命じた。
関連情報 特許第4601965号(P4601965) レーザ加工方法及びレーザ加工装置
審決取消請求事件 特許権・行政訴訟 請求棄却
原告 日産自動車
被告 ZEALIO ELECTRONICS(智佳電子股份有限公司)
2023年12月21日 知財高裁 令和5(行ケ)10016
争点
日産自動車は、智佳電子股份有限公司の特許が進歩性欠如、明確性要件違反、実施可能要件違反、サポート要件違反などの無効理由を有すると主張したが、特許庁は、それらの主張を全て否定。また、日産自動車は、特許庁の審決に対して、訂正請求を認めた判断の誤りや進歩性の判断の誤りなどの取消事由を主張。
智佳電子股份有限公司は、本件審決の理由に誤りはなく、本件特許は有効であると反論。
特許第6279803号(P6279803)ワイヤレススカッフプレートが争点。
判決
裁判所は、日産自動車の主張する取消事由について、一つ一つ検討した結果、いずれも理由がないと判断、日産自動車の請求を棄却し訴訟費用の負担を命じた。
関連情報 特許第6279803号(P6279803) ワイヤレススカッフプレート
発信者情報開示請求事件 著作権・民事訴訟 請求認容
原告 グラフィティジャパン株式会社
被告 NTTドコモ
2023年12月20日 東京地裁 令和5(ワ)70469
争点
アダルトビデオの制作会社であるグラフィティジャパンは、インターネット接続サービスの提供会社であるNTTドコモに対し、本件著作物に係るファイルがビットトレントによりアップロードされたことにより、グラフィティジャパンの著作権が侵害されたとして、発信者情報の開示を請求。
判決
裁判所は、グラフィティジャパンの著作権(公衆送信権)が特定電気通信によって明らかに侵害されたこと、及びグラフィティジャパンが発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があることを認め、NTTドコモに対して発信者の開示と訴訟費用の負担を命じた。
嘱託殺人、有印公文書偽造 判決 判決
被告人
2023年12月19日 京都地裁 令和2(わ)773
争点
被告人は、甲と共謀して、ALS患者のBの殺害を嘱託され、Bの胃ろうからペントバルビタールを注入して殺害。また、別のALS患者のAから手渡されたメディカルレポートにC医師の署名を偽造。被告人は、甲からの依頼に応じて犯行に加担し、その対価としてBから130万円を受け取った。
被告人は、甲から事前に殺害計画について何も聞かされておらず、Bの家に行って家の様子を見てほしいという依頼だけを受けたと主張。被告人は、Bの居室で甲がBの胃ろうにペントバルビタールを注入しているのを見たときには驚いたが、甲に向こうを向いておくよう言われたので従ったと供述。被告人は、自分は見張りをしたにすぎず、共同正犯ではなく幇助犯にとどまると主張。
被告人が甲と共謀してBを殺害したと認められるか否かが争点。
判決
裁判所は、被告人と甲との間に共謀が認められ、共同正犯の罪責を負い、被告人の刑事責任は重く、実刑は免れないと判断。しかし、嘱託殺人には自殺幇助の側面があり、被告人に前科がなく、別件の殺人罪で懲役13年の判決を受けていることなどを考慮して、懲役2年6月の刑を言い渡し、 被告人が偽造したメディカルレポート2通の各偽造部分を没収。
関連情報 ALS患者嘱託殺人、元医師に懲役2年6月 京都地裁判決 – 日本経済新聞【上図も日経新聞】
商標権侵害差止等請求事件 商標権・民事訴訟 請求棄却
原告 株式会社ブレイン
被告 リンクサス
2023年12月19日 大阪地裁 令和4(ワ)9818
争点
ブレインは、本件商標は記述的商標には該当せず、リンクサスの標章は本件商標と同一又は類似しており、本件商標権を侵害すると主張、標章使用の差止めと81万2000円の損害賠償を請求。
リンクサスは、本件商標は記述的商標に該当し、リンクサスの標章は普通に用いられる方法で商品の用途を表示するものであり、本訴請求は権利の濫用に当たると主張。
判決
裁判所は、リンクサスの主張を認め、ブレインの訴えを棄却し訴訟費用の負担を命じた。
関連情報 商標登録第6526506号(T6526506)熱中対策応急キット(標準文字)
発信者情報開示請求事件 著作権・民事訴訟 請求棄却
原告 プレステージ
被告 NTTコミュニケーションズ
2023年12月15日 東京地裁 令和4(ワ)23937
争点
アダルトビデオの制作・販売会社であるプレステージは、氏名不詳者がファイル共有ソフトであるビットトレントを使用して、プレステージの動画を複製し、送信可能化したことで、プレステージの著作権(複製権及び公衆送信権)を侵害したと主張し、NTTコミュニケーションズが管理する電気通信設備を経由した通信に係る発信者情報の開示を請求。
NTTコミュニケーションズは、プレステージが開示請求の対象としている通信は、「UNCHOKE」と呼ばれる通信であり、これはあるピアが自身の保有するファイルをアップロード可能であることを通知する通信にすぎず、この通信によって、プレステージの動画が送信可能化されたとはいえず、開示請求を棄却すべきと主張。
判決
裁判所は、「UNCHOKE」の通信による情報の流通によって本件動画の複製権又は送信可能化による公衆送信権が侵害されたことが明らかといえる必要があるが、そのような事実は認められず、プレステージが依頼した調査会社が使用したソフトウェアの信用性についても、別件の判決で否定された事情があることから、疑わしいと判断。
また、本件と同じ調査会社が同じソフトウェアを使用して調査した結果に基づいて提起された別の発信者情報開示請求事件において、東京地方裁判所は、同ソフトウェアの調査結果が信用できないとして、請求を棄却する判決を出したことから、プレステージの訴えを棄却し訴訟費用の負担を命じた。
年金減額改定決定取消、年金減額改定決定取消等請求事件 判決 棄却
上告人 年金受給者
被上告人 国
2023年12月15日 最高裁 令和4(行ツ)275
原審 2022年03月16日 大阪高裁 令和2(行コ)77
争点
国民年金法や厚生年金保険法に基づく老齢年金の額を改定する法律(平成24年改正法)が憲法に違反するとして、年金受給者が国に対してその取消し等を求めた事案。
年金受給者らは、年金額の減額は、国民の健康で文化的な最低限度の生活を保障する憲法25条や財産権を保障する憲法29条に違反すると主張。また、年金制度の改正に際して、国会が必要な事実の検討を怠ったり、誤った事実に基づいたりしたとも主張。
判決
最高裁は、年金額の減額には合理性があり、明らかに裁量権の範囲を逸脱し又は濫用したものではないと結論づけた。そして、年金額の減額は、憲法25条や29条に違反するものではないと判断。さらに、立法の判断過程審査の必要性や有用性についても否定的な見解を示した。
関連情報 国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律
発信者情報開示請求事件 著作権・民事訴訟 請求認容
原告 オフィスサイレンス
被告 NTTドコモ
2023年12月14日 東京地裁 令和5(ワ)70258
争点
映像等のデジタルコンテンツの企画、制作会社のオフィスサイレンスは、インターネット接続サービスの提供会社のNTTドコモに対し、オフィスサイレンスの動画がBitTorrentによりアップロードされたことにより著作権が侵害されたとして、発信者情報の開示を請求。
公衆送信権侵害の明白性が争点。
判決
裁判所は、オフィスサイレンスが委託した調査会社が動画をアップロードしているIPアドレスを特定し、その動画がオフィスサイレンスの正規品と同一であることを確認したことにより、公衆送信権が侵害されたことは明らかと判断。
NTTドコモに対し発信者情報の開示と訴訟費用の負担を命じた。
発信者情報開示請求事件 著作権・民事訴訟 請求認容
原告 株式会社ホットエンターテイメント
被告 ネットフォレスト
2023年12月14日 東京地裁 令和5(ワ)70318
争点
アダルトビデオの制作会社であるホットエンターテイメントは、インターネット接続サービスの提供会社であるネットフォレストに対し、本件著作物に係るファイルがビットトレントによりアップロードされたことにより、ホットエンターテイメントの著作権が侵害されたとして、発信者情報の開示を請求。
ネットフォレストは、本件調査の方法や結果について疑義を提起し、本件発信者が本件各動画に係るファイルをアップロードしたことが明らかでないと主張。
判決
裁判所は、ホットエンターテイメントが委託した調査会社がビットトレントにおいて本件動画のファイルをダウンロードしつつアップロードしているユーザの IP アドレスを特定したこと、及び、ダウンロードされたファイルが正規品と同一であることを確認したことにより、発信者の行為によりホットエンターテイメントの著作権が侵害されたことが明らかであると判断。また、ネットフォレストはインターネット接続サービスの提供者であり、発信者情報を保有していること、及び、ホットエンターテイメントには、発信者に対する損害賠償請求等の権利行使をするため、発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があることも認め、ネットフォレストに対し、本件発信者情報の開示と訴訟費用の負担を命じた。
不正競争行為差止等請求事件 不正競争・民事訴訟 請求棄却
原告 有限会社エルフ | elfe Ltd.|神戸市
被告 株式会社 丸祐
2023年12月14日 大阪地裁 令和5(ワ)73
争点
靴の製造及び販売並びに輸出入等を目的とするエルフは、自社の靴底の形態が特別顕著性と周知性又は著名性を有し、丸祐の靴底の形態がこれと酷似し、丸祐に故意又は過失があると主張。製造販売、広告宣伝の差止めと1億3260万円の損害賠償を請求。
丸祐は、エルフの靴底の形態が商品等表示に該当しないとし、自社の靴底の形態との類似性や混同のおそれ、故意又は過失、損害額などを否認。
判決
裁判所は、靴底の形態が周知又は著名な商品等表示に該当するかについて、エルフの主張を採用せず、丸祐の主張を採用。エルフの靴底の形態が客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有しておらず、需要者においてその形態を有する商品が特定の事業者の出所を表示するものとして周知になっていないと判断、エルフの訴えを棄却し訴訟費用の負担を命じた。
関連情報 意匠登録第1676238号(D1676238)靴底
商標権侵害差止等請求事件 商標権・民事訴訟 請求一部認容
原告 ヴイストン
被告 ロボショップ
2023年12月14日 大阪地裁 令和2(ワ)7918
争点
ロボット装置やソフトウェアの開発・販売を行うヴイストンは、ロボショップが使用する「Robot Shop」の標章が、ヴイストンが有する「Robot Shop」の商標権を侵害していると主張、標章使用の差止めと1億3814万9288円の損害賠償を請求。
カナダに本社があるRobot Shop Inc.の日本法人で、ロボットやロボット部品の販売を行うロボショップは、標章が類似していない、指定商品や役務が類似していない、禁反言の原則が適用される、記述的な使用に当たるなどの理由で、侵害を否定。
商標登録第5776371号「Robot Shop(標準文字)」に関する商標権が争点。
判決
裁判所は、ヴイストンの主張を一部認容、一部棄却。標章が類似しており、指定商品や役務も類似していると判断。禁反言の原則や記述的な使用の主張も退けた。しかし、損害賠償額については、ヴイストンの主張を全面的に認めることはできず1519万2324円に減額、訴訟費用は7割の負担とし、3割はヴイストンの負担とした。
関連情報 商標第5776371号 Robot Shop
審決取消請求事件 意匠権・行政訴訟 請求棄却
原告 E4D Technologies
被告 特許庁長官
2023年12月14日 知財高裁 令和5(行ケ)10072
争点
医療用3Dスキャナーを製造する米国法人のD4D Technologies(現在はE4D Technologiesに改名)は、日本国を指定締約国とする国際出願を行ったが、特許庁が拒絶査定をしたことに不服として審判請求をした。
特許庁は、D4D Technologiesが通常期待される注意を尽くしていなかったこと、意匠管理人を選任しなかったこと、拒絶の通報を受け取った後に適切な対応をしなかったことなどを理由として、審判請求を却下した。
争点は、意匠法46条2項の「その責めに帰することができない理由」の有無。
判決
裁判所は、D4D Technologiesの審決取消請求を棄却し、訴訟費用の負担を命じた。
私電磁的記録不正作出・同供用 判決 判決
被告人 A1、A2
2023年12月13日 京都地裁 令和2(わ)182
争点
A1、A2両名は、宿泊する意思がないのに、予約時のTポイントを不正に得ることを目的とし、インターネット宿泊予約サイト「B.com」を用いて、101施設に対して113回にわたり宿泊予約をした。
A1、A2両名は、警察官による捜索差押えや検証が違法であると主張し、それらに基づいて収集された証拠は証拠能力を欠くと主張。また、自らの同意書は任意性が否定されると主張。
①被告人らが詐欺を行ったかどうか、②被告人らが共謀したかどうか、③警察官による捜索差押えや検証、被告人らの同意書の違法性が争点。
判決
裁判所は、警察官の捜索差押えや検証等は違法であり、その証拠は証拠能力を否定されると判断。しかし、A1、A2両名の犯行は、他の証拠(家計簿アプリやノートに記載されたYahooID、宿泊したホテルの記録、スレイプニルというブラウザ等)によって立証されると判断。
A1、A2両名をそれぞれ懲役2年に処し、執行猶予4年を付した。
関連情報 高級ホテルに虚偽予約、Tポイント不正獲得か 容疑で母子逮捕、宿泊サイト悪用|社会|地域のニュース|京都新聞
殺人、銃砲刀剣類所持等取締法違反、殺人未遂、傷害 判決 判決
被告人 G
2023年12月12日 さいたま地裁 令和4(わ)626
争点
令和4年1月27日に埼玉県ふじみ野市で発生した散弾銃による殺人・殺人未遂事件。
当時65歳・無職のGは、自宅で介護していた母親が死亡したことに対し、在宅医療を担当していたC医師や理学療法士、医療相談員らに恨みを抱き、彼らが線香をあげに訪問した際に散弾銃で発砲した。
Gは、C医師に対し、胸部にスラッグ弾を発射して殺害し、理学療法士Iに対し、腹部にスラッグ弾を発射して重傷を負わせた。また、医療相談員Bに対し、催涙スプレーを吹きかけて軽傷を負わせた。さらに、医療相談員Uに対し、散弾を発射したが命中しなかった。
Gは、C医師が母親の死亡直前に心臓マッサージを行わなかったことや、IやMが歩行訓練を行わなかったこと、Uの相談対応が良くなかったことなどに不満を抱いていた。しかし、これらの不満は一方的で理不尽なものであった。
Gの各発砲行為の際に殺意があったか否か、Gが発砲行為によりC医師の生命を害する危険が高いことを認識していたか否か、Gが散弾銃を人を殺傷する目的で使用したか否かが争点。
判決
裁判所は、Gの犯行は冷酷で悪質であり、被害者に対する反省や慰謝の意思もないと判断し、Gを無期懲役に処した。また、Gが所持していた散弾銃2丁と催涙スプレー1本を没収した。
関連情報 医師射殺、男に無期懲役 さいたま地裁が殺意認定 – 日本経済新聞
不当利得返還請求事件 判決 破棄自判
上告人 大阪市
被上告人 元市会議員
2023年12月12日 最高裁 令和4(行ヒ)317
原審 2022年07月01日 大阪高裁 令和4(行コ)15
争点
被上告人は選挙に関する罪で有罪判決を受け、市会議員の職を失いました。
上告人は、議員報酬と政務活動費の返還を求めています。
判決
原判決が変更され、被上告人は上告人に対して約1411万円及び利息を支払うことが命じられています。
裁判所は、選挙に関する罪で有罪判決を受けたため、被上告人の当選が無効となり、支払われた報酬と政務活動費の返還が求められると判断しました。
関連情報 買収で大阪市議選の当選無効、報酬全額の返還を命令…最高裁 【上図も読売新聞】
損害賠償請求事件 その他・民事訴訟 請求棄却
原告 A
被告 スターレイプロダクション
2023年12月11日 東京地裁 令和5(ワ)3171
争点
Aは、タレント、モデル、演劇などの芸能活動を行っている個人。
スターレイプロダクションは、タレントやモデルの育成及びマネジメントを主とする芸能プロダクション。
この訴訟は、Aがスターレイプロダクションに対し、専属契約の解除後も同社のホームページにAの肖像写真等を掲載し続けたことについて、パブリシティ権、肖像権の侵害、不正競争防止法違反を主張し、損害賠償金975万7千円と肖像写真等の削除を請求したもの。
判決
裁判所は、スターレイプロダクションのホームページのAの肖像写真等の掲載は、Aのパブリシティ権、肖像権を侵害するものではなく、Aの氏名や肖像は周知な商品等表示に該当しないと判断、Aの請求を棄却し、訴訟費用の負担を命じた。
発信者情報開示請求事件 著作権・民事訴訟 請求認容
原告 グラフィティジャパン株式会社
被告 中部テレコミュニケーション
2023年12月11日 東京地裁 令和5(ワ)70312
争点
アダルトビデオの制作会社であるグラフィティジャパンは、インターネット接続サービスの提供会社である中部テレコミュニケーションに対し、本件著作物に係るファイルがビットトレントによりアップロードされたことにより、グラフィティジャパンの著作権が侵害されたとして、発信者情報の開示を請求。
判決
裁判所は、グラフィティジャパンは本件著作物の著作者であり、著作権を有すると判断。また、発信者はビットトレントを用いて、本件著作物に係るファイルを自動公衆送信し、グラフィティジャパンの著作権を侵害したことが明らかであり、グラフィティジャパンは発信者情報の開示請求権を有するとして、中部テレコミュニケーションに対し、本件発信者情報の開示と訴訟費用の負担を命じた。
発信者情報開示請求事件 著作権・民事訴訟 請求認容
原告 株式会社CHERRIES
被告 NTTドコモ
2023年12月11日 東京地裁 令和5(ワ)70474
争点
アダルトビデオの制作会社であるCHERRIESは、インターネット接続サービスの提供会社であるNTTドコモに対し、本件著作物に係るファイルがビットトレントによりアップロードされたことにより、CHERRIESの著作権が侵害されたとして、発信者情報の開示を請求。
判決
裁判所は、本件発信者が、本件著作物に係るファイルの全部又は一部を、公衆からの求めに応じ自動公衆送信し得るようにすると共に、現に自動公衆送信したものと認められ、原告の著作権(公衆送信権)を侵害したと判断。また、CHERRIESが本件発信者に対し、本件著作物に係る著作権侵害を原因とする損害賠償請求等をする準備をしていると認められることから、原告には本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があると判断。CHERRIESの請求は理由があるとして、NTTドコモに対し、本件発信者情報の開示と訴訟費用の負担を命じた。
著作権侵害差止請求事件 著作権・民事訴訟 請求棄却
原告 A、株式会社スーン
被告 株式会社一十珍海堂
2023年12月07日 東京地裁 令和5(ワ)70139
争点
スーンと、「木枯し紋次郎」シリーズの著作権を相続しスーンに独占的な利用を許諾したAは、一十珍海堂が製造販売する「紋次郎いか」などの商品に付された図柄と名称が、スーンらが著作権を有する「木枯し紋次郎」シリーズの登場人物「紋次郎」に係る著作権を侵害すると主張、製造販売の差止めと1億5126万1000円の損害賠償を請求。
一十珍海堂は、「紋次郎」の外観上の特徴を言語化したものは著作物に当たらないと主張。一十珍海堂の商品に付された図柄と名称は、スーンらの著作物と同一又は類似ではなく、スーンらの商品又は営業と混同を生じさせるものでもないと主張。
紋次郎の表示が製品表示であるかどうか、二次的意義を持つかどうか、スーンらのビジネスと混同を引き起こすかどうかが争点。
判決
裁判所は、スーンらの著作権侵害の主張を認めず、一十珍海堂の商品はスーンらのビジネスと混同を引き起こさず、著作権の侵害には当たらないと判断。訴えを棄却し、スーンらに訴訟費用の負担を命じた。
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発信者情報開示請求事件 著作権・民事訴訟 請求認容
原告 株式会社グルーヴ・ラボ
被告 株式会社朝日ネット
2023年12月07日 東京地裁 令和5(ワ)70372
争点
動画制作会社であるグルーヴ・ラボは、本件発信者らがファイル交換ソフトウェア「BitTorrent」を利用して本件各動画を自動公衆送信したことにより、原告の著作権を侵害したことが明らかであると主張、本件発信者らに対する損害賠償請求等の権利行使のため、インターネット接続サービスの提供者である朝日ネットに対して本件発信者情報の開示を要求。
朝日ネットは、本件調査の信用性や本件侵害動画と本件各動画との同一性に疑義があると反論。
判決
裁判所は、グルーヴ・ラボの請求に理由があると判断し、朝日ネットに対して、本件発信者情報の開示を命じた。
損害賠償等請求事件 その他・民事訴訟 請求棄却
原告 ZUND(ずんどう屋)
被告 セイショウ
2023年12月07日 大阪地裁 令和5(ワ)565
争点
ZUNDは、セイショウに依頼した原状回復工事でセイショウが残置すべき監視カメラを撤去・廃棄したと主張し、請負契約の契約不適合責任に基づく損害賠償金420万円及び遅延損害金の支払を請求。
セイショウは、ZUNDが本件リストに記載された機材及び備品並びに空調機を残置し、それ以外のすべての機材等の撤去を依頼し、セイショウはこれを承諾して工事を完成させたと主張。また、ZUNDが別業者に撤去依頼した「監視カメラ」は、ZUNDの設置したものであり、Kネクスト所有の監視カメラではないと主張。
判決
裁判所は、ZUNDとセイショウの間において、Kネクスト所有の監視カメラの残置の合意はなく、その撤去が合意されていたと認め、セイショウの契約不適合責任は成立しないと判断。ZUNDの請求は理由がないとして棄却。
特許権侵害差止等請求事件 特許権・民事訴訟 請求棄却
原告 日本育児
被告 KATOJI
2023年12月07日 大阪地裁 令和4(ワ)5553
争点
日本育児は、自社が持つ「幼児用サークル」の特許権がカトージによって侵害されたと主張し、損害賠償713万3100円を請求。
カトージは、日本育児の特許に記載された技術的範囲に属する製品を製造・販売していると主張。
特許第6914521号「幼児用サークル」に関する特許権が争点。
判決
裁判所は、日本育児の特許権侵害の主張を認めず、カトージの行為は特許権の侵害には当たらないと判断。訴えを棄却し、日本育児に訴訟費用の負担を命じた。
関連情報 特許第6914521号(P6914521) 幼児用サークル
損害賠償請求事件(特許権侵害) 特許権・民事訴訟 請求一部認容
原告 MIC – インナーウェア・下着のODM/OEM
被告 Flore
2023年12月06日 東京地裁 令和3(ワ)18262
争点
婦人服、紳士服、子供服、ベビー服等の各種衣料繊維製品の企画、デザイン、製造、販売並びに輸出入等を行うMICは、FLOReの販売する製品がMICが有する特許権を侵害すると主張し、損害賠償5328万1800円を請求。
女性及び男性向け化粧品の設計、開発、販売業務等を行うFLOReは、同社の製品が本件特許権の技術的範囲に属さず、また、本件特許権は新規性と進歩性を欠き、無効であると主張。
特許第3996406号(P3996406)「女性用衣料」に関する特許権が争点。
判決
裁判所は、FLOReの製品がMICの特許権の技術的範囲に属すると判断し、MICの特許権が無効であるというFLOReの抗弁は退けた。損害賠償額については、MICの主張を全面的に認めることはできず、776万46円に減額、訴訟費用は7分の1の負担とし、7分の6はMICの負担とした。
関連情報 特許第3996406号(P3996406)「女性用衣料」
旅券不発給処分無効確認等請求事件 棄却 請求棄却
原告
被告 国
2023年12月06日 福岡地裁 令和4(行ウ)25
争点
日本国籍を有する原告が、自己の志望により米国国籍を取得したことにより、国籍法11条1項に基づき日本国籍を喪失したとして、外務大臣が旅券を発給しなかった処分の無効確認、日本国籍の有無の確認、慰謝料22万円の支払いを請求。
判決
裁判所は、国籍法11条1項は、日本国民が自己の志望によって外国国籍を取得した場合において、日本国籍を失うことを規定しており、憲法10条に基づく立法府の裁量判断の範囲内であり、原告は、自己の意思で米国国籍を取得したことにより日本国籍を喪失したものであり、本件処分は正当なものであると判断。また、原告は、日本国籍を喪失したことにより精神的苦痛を受けたと主張したが、その根拠を示すことができなかったと判断。
以上の理由により、原告の請求をいずれも棄却。
関連情報 法務省:国籍法
各損害賠償請求控訴事件 棄却 控訴棄却
控訴人
被控訴人 国
2023年12月05日 仙台高裁 令和4(ネ)80
原審 2022年02月22日 福島地裁いわき支部 平成28(ワ)62
争点
控訴人らは、平和安全法制は、憲法9条1項に明白に違反する戦争の準備行為であり、原告らの平和的生存権、人格権、平穏生活権を侵害すると主張。
政府は、平成26年に、我が国の存立が脅かされる場合に限り、他国に対する武力攻撃を阻止するための集団的自衛権の行使を憲法上許容すると判断。これは、従来の政府見解との法理的整合性と法的安定性を維持し、従来の憲法9条の解釈の基本的な論理を変更しないと主張。
内閣総理大臣は、新たに認められた武力の行使は、国際法上の集団的自衛権の行使とは異なり、あくまでも我が国の存立を全うし、国民を守るためのやむを得ない自衛の措置に限られると答弁。内閣法制局長官は、新たに示された武力の行使の3要件について、その解釈を説明。
判決
裁判所は、政府の意思決定や国会の立法が憲法に違反するとしても、それは憲法の条規を改正するものではなく、その効力を有しないにすぎないとして控訴を棄却、控訴人らに訴訟費用の負担を命じた。
関連情報 平和安全法制等の整備について|内閣官房ホームページ
審決取消請求事件 特許権・行政訴訟 請求棄却
原告 X
被告 特許庁長官
2023年12月05日 知財高裁 令和5(行ケ)10011
争点
Xは、特許庁が拒絶査定した特許出願(携帯端末の遠隔操作用デバイスに関する特許)について、審決の相違点に関する判断に誤りがあり、特許出願には予測できない顕著な効果があると主張し、審決の取消しを請求。
特許庁は、引用文献(特開2012-003374「操作装置および操作方法」)を主引用例として、特許出願と引用発明の一致点と相違点を認定し、特許出願は、引用発明と周知事項に基づいて容易に発明できたものであると判断。
判決
裁判所は、本願発明の効果は当業者が容易に想到し得る範囲内であると判断。請求を棄却し、Xに訴訟費用の負担を命じた。
関連情報 特願2020-516252号(JP2019/016278)携帯端末の遠隔操作用デバイス
発信者情報開示請求事件 著作権・民事訴訟 請求認容
原告 株式会社グルーヴ・ラボ
被告 NTTドコモ
2023年12月04日 東京地裁 令和5(ワ)70216
争点
ビデオソフトやDVDビデオソフトの制作・販売を行うグルーヴ・ラボが、NTTドコモが提供するインターネット接続サービスを介して、ファイル共有ネットワークに本件各動画に係るファイルがアップロードされたことにより、グルーヴ・ラボの著作権(公衆送信権)が侵害されたとして、グルーヴ・ラボがNTTドコモに対し、発信者情報の開示を請求。
判決
裁判所は、本件各発信者がビットトレントを通じて自己が取得した本件各動画のファイルの一部をアップロード可能な状態に置くことにより、本件各動画を自動公衆送信したと判断。グルーヴ・ラボには、本件各発信者に対する損害賠償請求等の権利行使をするため、本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があると認め、グルーヴ・ラボの請求を認容し、NTTドコモに対し、本件発信者情報の開示と訴訟費用の負担を命じた。
特許権侵害差止及び特許権侵害賠償等請求事件 特許権・民事訴訟 請求棄却
原告 A
被告 オリヒロプランデュ、お茶の丸幸、小谷穀粉、石光商事
2023年12月04日 東京地裁 令和5(ワ)70102
争点
Aは、オリヒロプランデュ、お茶の丸幸、小谷穀粉、石光商事の各社が販売する黒烏龍茶の製品がAの発明の構成要件を充足していると主張し、特許権の侵害を認めるよう請求。
オリヒロプランデュ、お茶の丸幸、小谷穀粉、石光商事は、各社の製品がAの発明の構成要件を充足していないと主張し、特許権の侵害を否定。また、本件特許は、サポート要件違反、新規性欠如、進歩性欠如、実施可能要件違反、明確性要件違反などの理由で無効であると主張。
特許第6995229号「半発酵茶葉、着香の半発酵茶葉、半発酵茶葉又は着香の半発酵茶葉を含む混合茶葉、半発酵茶葉、着香の半発酵茶葉又は混合茶葉からの抽出物、抽出物を含む飲食物」に関する特許権が争点。
判決
裁判所は、Aの発明の構成要件について、茶葉に含まれるポリフェノール、EGCGとECGの合計、総カテキンの各成分の含有量を測定する方法や基準について、本件明細書に明確な記載がなく、当業者においても一定の技術常識がないと判断。また、Aの発明の効果について、明細書に記載された官能試験の結果は、主観的で不明確であり、客観的な根拠がないと判断。
したがって、裁判所は、本件特許は、明確性要件を欠き、無効であると判断。訴えを棄却し、Aに訴訟費用の負担を命じた。
関連情報 特許第6995229号(P6995229)半発酵茶葉、着香の半発酵茶葉、半発酵茶葉又は着香の半発酵茶葉を含む混合茶葉、半発酵茶葉、着香の半発酵茶葉又は混合茶葉からの抽出物、抽出物を含む飲食物
不正競争行為差止等請求事件 不正競争・民事訴訟 請求認容
原告 京童
被告 Style On
2023年12月04日 大阪地裁 令和4(ワ)3577
争点
京童が販売する通帳ケースと長財布の形態をStyle Onが模倣したとして、販売等の差止、廃棄、損害賠償等を求めた。
Style Onの商品が京童の商品の形態を模倣した商品に該当するか、原告の損害額はいくらかが争点。
判決
裁判所は、Style Onの商品は京童の商品の形態を模倣した商品に該当し、Style Onの得た利益及び弁護士費用を京童の損害額と認めた。
審決取消請求事件 商標権・行政訴訟 審決取消
原告 丸井グループ
被告 Y
2023年12月04日 知財高裁 令和5(行ケ)10067
争点
丸井グループは、Yが登録した「5252byO!Oi」の商標の構成のうち「O!Oi」の部分は、丸井グループ標章と類似する要部であり、丸井グループの業務に係る商品等と混同を生じるおそれがあると主張。商標登録の無効審判を請求したが、特許庁はその請求を不成立とした。
Yの商標の指定商品は、被服やかばん類等のファッション・アパレル関連商品や、携帯電話機用アクセサリー、ヘッドフォン、眼鏡等の一般消費者が身に付ける物が中心。
丸井グループの商標の指定商品には、被服やかばん類等のファッション・アパレル関連商品や、キーホルダーや眼鏡等の一般消費者が身に付ける物が含まれる。
商標登録第6371693号「5252byO!Oi」の登録商標が争点。
判決
裁判所は、特許庁の審決を取り消し、訴訟費用はYの負担とするとした。
両者の指定商品は同一又は類似する商品で、取引者、需要者が両者の出所を見誤る可能性は否定できず、その商品の出所において誤認混同が生じるおそれがあり、Yの商標は、商標法4条1項11号に該当するものと認められるから、特許庁の審決は取り消されるべき。
関連情報 商標登録第6371693号(T6371693)